皇室典範の改正。「有識者会議」に思う

 皇室典範を改正するそうだ。現憲法においては、皇室典範も純然たる法律に過ぎないので、その改正は法律改正の手続きと同じである。すなわち、国会で審議して可決されれば改正されると言うことだ。

 法律改正なので、それは立法府である国会の仕事、国会議員様のお仕事のはず。しかし、法改正などをする前には、なぜか有識者会議」なるものが行われることが多い。この皇室典範の改正についても例に漏れることなく有識者の先生様がご意見を述べるようだ。
 もちろん、法律案を作るにあたって本当に見識のある有識者の意見を聞き参考にするのは良いことだと思う。しかし、法律案を作成した後で開催される「有識者会議」なるものは、そもそも有識者の意見を伺って法律案を修正しようなどと言う意図は毛頭無いものだということは有名な話。

 そもそも、法律改正というものは、それを担当する省庁の一大事業*1)なのである。事業であれば、「計画」があり、「いつまでにこの法案を通す」ということが担当部署の責務なのだ。有識者会議なるものは、ただ「有識者の意見を聞きましたよ」ということを国会に言うだけのいわばアリバイ工作でしかない。だから有識者会議は、役所の作った案に反対することなく生成粛々(*2)と「良い良い」と言ってくれる人を選ばねばならない。そういう点で、大学の先生はとても良い人材である。できるだけ有名大学の教授がよい。大学教授が「良い」と言えば、なかなか真っ向から「それはおかしい。間違っている。」と言う人は少ないものだ(*3)。こうして「有識者のご意見も頂きましたので」と国会に提出することで、役人の「事業」は進んでいく。

 これを効率的な国会運営と言うべきものか、税金の無駄遣いと考えるのか。。。私は後者だと思う。

*1:なぜか、日本の場合、法律案のほんどは内閣が提出している。ということは役所の役人が法律案を作っているのだ。本来は、国会議員が方案を提出するのが本筋なのだろうが、「議員立法」などという言葉が特別に作られるほど、国会議員が提出する法律案は少ない。頑張ってくれ議員先生!

*2:「いけしゃーしゃーと」

*3:ロボット工学の先生様が、皇室のことに造詣が深いとは、私にはとても思えないのだが、この様な先生様を平気で座長に任命しているのは、「有識者会議は形だけだから、肩書きさえあれば誰でも良い」ということを露呈したものでしょう。