日本は巨額被害事件をやり得の国?

 相場を張り・・・特に、市場間アービトラージなどをやっていると常に「利益と損失の均衡はどうか?」などと考えてしまう。

  • 利益が増加しても損失が増加しないなどと言う世界があると、そこには収益の機会がある

と考えてしまうのだ。

 相場の世界で、個人レベルで行える裁定の機会などと言うものはほとんど無いが、リアルな世界にはあるものだ。
 私は司法試験の勉強もしているので、ふと思う。

 日本では、複数の犯罪を犯しても最も重い犯罪の5割り増しの刑までしか科されないのが刑法の決まりである。
 簡単に言えば

  • 泥棒1回・・・最高懲役10年
  • 泥棒2回・・・最高懲役15年
  • 泥棒3回以上・・・最高懲役15年

となる。

 簡単に言えば、泥棒を2回以上やってしまえばあとはいくら罪を重ねても罪は増えない*1)。ということは、刑罰=リスクと考えると、リスクは限定され、利益は無制限ということになる。
 もちろん、犯罪で得た利益は没収できる規定はあるが、検察官も2つ以上の罪を立証しても同じことなので全てを立証しようとしないようだ。それで、立証されない罪の利得が残る。服役しても、それに見合うリターンが望めれば、それはそれ、実行する者が出てくるのは当然というのが、犯罪者の経済観念だろう。

 事実、これは詐欺罪にも同じことが成り立ち、架空請求詐欺など数十〜数万(*2)の大量の罪を犯す者が現実に出ている。被害者の被害が救済されていないということは、被害分は犯罪者が手にした(*3)ということだ。

 これでは、次から次へと巨大被害事件が起こるはずだね

*1:課される刑罰の上限が増えないということ

*2:騙す意図を持って架空請求メールを送信すれば、詐欺の実行着手になるから、未遂罪が成立する。ならば、送った架空請求メールの数だけ詐欺未遂罪の併合罪となろう。

*3:犯罪による利得を国が没収した場合、被害者が判れば返還されるはず。被害が救済されないと言うことは、犯罪利得の全てが没収されていないことになる。だから、犯罪者に利得が残されている。