ライブドア事件と日本の証券取引制度に思う

 ライブドアの一連の事件によるライブドア株価の暴落で損失を被った個人投資家は多いと思う。私もかってライブドアの株式を持ったことはある。なぜかというと、1株から取引が可能なので、個人、しかも初心者で少額の資金で取引を行うのにはもってこいの銘柄だからだ。

 日本で証券取引を行うには、まとまった株数でなければ取り引きできない単元株制があるため少額の資金で株式投資を始めるには、取り扱える銘柄が極めて限られてしまう。個人が投入できる数十万程度の資金では複数銘柄で株式のポートフォリオを組むなど不可能だから、個人が株式投資を行うのは実は極めて危険な行為だと認識すべきだろう。
 
 個人的にライブドアが嫌いか好きかは別として、ライブドアの1株から売買できるようにしたことは評価に値する。もし、すべての銘柄が1株数千円程度で売買できるとしたならば、多くの個人投資家ライブドア以外の銘柄にも分散投資することができたに違いない。
 このライブドアのため東京証券取引所のシステムに過大な負荷がかかったというが、取引所として手数料を取って金儲けをしているプロであり、しかもその制度でライブドア上場を認めておきながら、取引システムを整備していなかったのは東証の怠慢以外の何物でもない。
 私は、違法行為を繰り返して金儲けだけを企てていた堀江前社長を評価する気はないが、彼を悪者にすることで、ライブドアのような1株から取引可能な制度が無くなる方向に進むことを危惧している。

 少額資金でも分散して、安心して個人投資家も参加できる株式市場を作ることが日本の証券界の急務であろう。