日本版ロースクールというものは長持ちするかな?

 今年から法科大学院卒業組の新司法試験が始まる。そして、今後はこれまでの司法試験は新司法試験以降のための経過措置で、段階的に合格者数を減らし平成22年でおしまいだそうだ。
 と考えればあと5回のチャンスがあるわけだが、合格者数が減っていく。昨年の1500人合格から今年の合格者は500〜600人程度に減少、来年度は300人程度。今年から新司法試験が始まるので出願者も減るかと思いきや、あまり減らなかったですね。合格率は低くなる勘定です。さて、そろそろ別の道を考えるか・・・と、今年はロースクール適性試験にも出願してみたものの、ふと考える

 しかし、あと5年。新司法試験が続くのかな? というより法科大学院が続くのかな?なにせ司法試験改革の目玉だったはずだが、役所のやる「改革」は結局中途半端のものに終わるのよ。
 ロースクールを作って実務教育をやるというのなら、いっそ司法修習制度を無くすくらいの改革をやればいいものを、結局司法修習を残した。だからその司法修習所のキャパシティから合格者数を制限すること(*1)となったでしょう。それに、法科大学院の新設についても従来の学校と同じ「認可」制度(*2)の枠組みをそのまま使ったものだから、「これはビジネスチャンス」とばかりロースクールが沢山できてしまった。結局、司法修習生の受け入れ枠に対してロースクールの定員が多すぎるという事態を作り出した。そしてその結果、ロースクールに行くだけの時間とお金という犠牲を払った割には半分も合格できないという事態(*3)が発生した。結局、ロースクールに行く資金と時間の余裕がある者以外は法曹に志願してはいけないということになっただけ。これを目の当たりにした一般の人は身を引くことになり、2年目にしてロースクールの志願者激減した。
 さあ、平成23年に新司法試験に一本化されるまであと5年もあります。とすると、卒業生が5年間過ごすことになりますね。その間にロースクール出ても無駄に終わった人が世に溢れます。さらにロースクールを敬遠する、学生が集まらない、、、ロースクールの資金は尽きる。。。あと5年もあればロースクールの倒産が発生しても全然不思議ではないでしょうね。そんな事態が起きたとき、新たな司法試験改革をしなければならないような、そんな気もするのですが。

 私個人としては、ロースクールには反対ではありません。いっそ司法修習制度を廃止してロースクール修了生には簡単な最低限の知識を確認する認定試験(*4)で資格を与える。そして、その後は弁護士実務の世界での市場淘汰に任せる*5)。これでいいのではなかろうか。

*1:少なくとも大幅増ができないのはこの為だろう。予算の制約もあるし。

*2:条件を満たせば必ず許可されるものが「認可」。改革のための新設なのだから、「総定員何名まで先着順のみを認可する」特別認可制度のようなものを作ればいいようなものだが、きっとそんなことはできなかったのだろう。政府案として法案をまとめるのは大変なのよん。

*3:最低2年間。この間の逸失利益と学費を考えると1000万円を超える。それと時間。そんなリスクをとってでも利益を得る(合格する)確率が3割なら、先物取引よりよほど怖いものだと思う。まともな経済観念を持っていたら、とてもこのリスクを引き受けるリスクテイカーにはなれないと思う。

*4:さもないと日本の大学は入学者をみんな卒業させてしまうから最低限必要なレベルを保てないからだ。アメリカは入学は楽でも、卒業が大変で、駄目なものはどんどん途中で辞めていく。大学自体が一種のふるい落としを行い、最低限のレベルを保つ役割を行うのに対し、日本の大学にはそれを期待できないという大学制度に日米間に根本的な違いが存在する。

*5:なら、裁判官と検察官はどうするのか? 司法修習所は裁判官と検察官の選考の場所でもありますし。どうもこの問題には有効な処方箋は思いつかない次第です。