郵便局でも投資信託!?

 今日の新聞には、一面全面を使って「郵便局の投資信託という広告が出ていました。例によって、リスクの説明は下の方にたった3行、目立たぬように記載されているだけです。
 確かに書いているリスク説明。しかし、これを読んで投資行為の未経験者が意味をわかるだろうか?極めて疑問だ。
 「郵便局の投資信託」と題した広告は、知らない人が見ると郵便局に財産を預けて(信託して)郵便局が運用すると勘違いをさせかねない。実際は他の機関が発行している投資信託を取り次いで売っているだけで、郵便局はその取次手数料を稼ぐという仕組みであるということを、この広告を見た人のうちどれくらいが理解するだろう。

 都市部で、多数の銀行や証券会社が存在し、金融商品を比較検討する人ならばこの程度の説明で理解してもらえるだろうが、おおよそ金融機関というものが郵便局しかなく、郵便局様々と頼り切っているお年寄りを中心とした地域の方々、特にインターネットすら使わない人(*1)には郵便局の人が言うのだからと信じ切って投資信託などを購入しかねない。このような人たちは、複雑な金融商品の内容を新たに理解して自主的な判断して購入するというよりも「誰々が勧めたから」というように誰が話したかということの方が重要な判断要素として行動することが多いのだ。地方では未だに公務員の地位(*2)というか信用度というものは、都市部の人間とは比べものにならないくらい高い。郵便局で勧められたから安心だと、間違って投資信託などを購入する人が続出することだろう恐ろしいことだ

 だいたい、郵便局で投資信託を購入するなどということは無意味だ。というより、リスクが大きい*3)だけだ。このことはたった3行のリスク説明のうち「郵便局でご購入頂く投資信託は投資者保護基金による支払いの対象ではありません。」に現れている。
 どういうことかというと、「郵便局に預けるわけではないので、郵便局が健全に生きていたとしても、信託会社が破綻すれば資金は取り戻せない」ということなのだ。すなわち、

  • 郵便局が破産、信託先が健全・・・資金に影響なし(郵便局に預けているわけではないから)
  • 郵便局が健全or破綻、信託先が破綻・・・資金は戻らない。郵便局が責任を持つなど書いてない。


このことをどれくらいの人が正確に理解するのだろうか。この点、証券会社で購入すれば、

  • 証券会社が破綻、信託先が健全・・・資金に影響なし
  • 証券会社が健全or破綻、信託先が破綻・・・資金は投資者保護基金から1000万円までは補償される。


ということになる。

 投資未経験者にリスクのある金融商品(そのリスクが少ないものでも)を売るようなビジネスモデルは昔存在した豊田商事のごとく悪徳行為である。いや、郵便局の衣を着て信じ込まさせる、かつ、損失が少ないので社会問題化することなく、多くの人が小さく泣くという、豊田商事とも比べものにならない悪徳ビジネスモデルであると言えよう。

*1:インターネットを使えば、日本のどこに住んでいようが、ネット証券会社などで投資信託の購入は可能だから、地域による情報や投資手段の格差は小さいだろうが、そうでない人にとっては未だに格差は大きいのだ。

*2:郵政公社になかったのだから公務員ではないような気もするが・・・。まだ公務員なのだろうか?

*3:これは銀行で投資信託を買うことも同じなのだ。投資信託なら証券会社で買う方がリスクは少ない。