プールの事故は管理責任だけの問題か?

 埼玉県ふじみ野市のプール事故を巡り、プールの管理者であるふじみ野市が徹底的に責められている。そして、同様の管理状態のプールが多数存在していたことも判った。

 しかし、考えてみれば、人が吸い込まれて死亡するほどの危険なものが、ただのフタ1枚だけで守られているという事実の方が私は怖い。人が死ぬほどのもので、人がこれだけ接近して使用されるものなのであるから、フタがはずれても第2のフタがあるとか、フタが外れれば自動的にポンプが停止するなどの安全対策がとられて当然のような気がするのだが、このような安全設計はなされていなかった。

 ものを作る、しかも人を殺す危険があるものを作り、それを売って利益を上げている者は、人に危害が及ばないよう安全に配慮した設計をする義務がある。製品がどの程度危険なものであるか最もよく知っているのは製造メーカーであり、それを買って使う者は買った製品がどれほど危険なのかを知るよしもないのだから。

 今回の事故も、1義的には製造メーカーの安全対策の欠落。次に危険をユーザーに知らせなかった製造メーカーの過失が主たる原因であって、管理者の責任はその次にくるべきものではなかろうか。もし、メーカーから危険を十分知らされていれば、人名に係る重要なものを針金で固定することはなかっただろうと思う。