教員免許に更新性を導入!!!

 今日の日経新聞の記事には教員免許に更新制を導入すると中央教育審議会が答申したそうだ。教員の資質向上を図るための改革だというが本当にそうなるだろうか?

 これによると教員免許の有効期限を10年として更新には都道府県の教育委員会が行う30時間の更新講習を修了することが条件だという。「講習を修了したと認められなかった場合」には教員免許が失効する、すなわち教員を失職するということになる。

 確かに、現在の教員というものは、採用後野放しで学校という社会から乖離した集団の中で、やりたい放題で必要な管理がされていない。このような状況に更新時講習を受けさせることができることには一定の効果が望めよう。

 しかし、考えてみるとこの改革の効果は極めて疑わしい。それは以下に述べる3つの理由からだ。

 まず現役教員の側からすれば、30時間掛かるという更新時講習に現役教員のほぼが全て参加するだろう。さもないと免許が失効してしまい職を失うこととなるからだ。更新時講習に参加した者を「講習を修了したと認められなかった場合」と判断することは、実質的に教職から追放するという判断となのるだから、このような判断を免許の更新時にできるかがはなはだ疑問なのだ。
 日本の終身雇用の慣習では、仕事を辞めさせるには相当の理由が必要だから、免許の更新を認めないことが失職に直結する以上、相当強力な理由がない限り更新拒否ということは考えられない。逆に、相当強力な失職理由があるにもかかわらず更新時まで漫然と勤務させたことに対する管理責任というものも発生しよう。とすると、通常は不適格者を排除すべき責任のある管理職も管理責任を問われることを避けるため、管理職もこぞって現役教員の免許が更新されるよう働きかけるに違いない。それが日本の役所という体質である。
 結局、現役教員の側からすれば、現役教員の免許を全て更新させる制度が誕生するに違いない。そして、そのための事務手続きの分だけ税金が使われる。

 次に、現役教員でない教員免許保持者の側から見ればどうかである。社会の中でいえばごく少数の教員採用浪人を除けば、通常は社会人として別の職を持っていることだろう。このよう者に教員免許の更新のために30時間の更新講習を受けよといっても「受けられるわけがない」のが現状だ。すなわちこの制度が発効すれば、そのから10年後には現役教員以外の教員免許保有者は世の中からほとんど居なくなることになる。これこそ、教員の選択の幅を著しく狭くする元凶となろう。

 そして、新たに教員免許を取得しようと志す者にとってはどうか。現状では大学生が在学時に余分な単位を取得することで教員免許が与えられている。これによって、教員を志す者以外でも教員免許を取得している。このことが教員採用側の選択肢の増加に繋がっている。しかし、教員にならなければ10年で消えてしまう免許などのため誰が余分に単位を取得して教員免許を取得するだろうか。この改革で、教員免許の新規取得者が激減し、教員採用の幅を狭くすることは間違いない。

 結局

  • 現役教員の免許はほとんどそのまま更新される
  • 現役教員以外の免許取得者の免許は剥奪される
  • 教員免許の新規取得者は激減する

という3つの現象が容易に予想される。このことから、現役教員だけが有利となって、いくら怠けていても楽勝な現役教員の世界が温存されよう。