NHKが強気だが?

 日経新聞の記事「NHK、全国で法的措置・受信料不払いで会長が方針」には、

受信料を払わない世帯に対する民事上の法的措置を2007年度は全国に拡大する方針を明らかにした。

とあります。

 ということは、これまでに行って報道等がされたものは単なるお試しだったのですね。まあ、なににでもお試し行為は必要だと思いますが、本施行にはお試し行為の結果を見てからが良いのではと思います。
 「法的措置を取る」と言って息巻いたところで、取れる法的措置は民事訴訟で勝訴して債務名義(*1)をとって、強制執行するしかないのですよね。裁判で勝って債務名義を得たところで、優先弁済を受けられる訳でもなく強制執行したところで他の債権者と価格比例按分することになるのでNHKの受信料など消滅時効までの分でたかが5万円程度ですから、ほとんどNHKに配当されるお金はありません。なので、私が思うに、この程度の債権を法的措置を取っていたら執行(*2)費用倒れになること間違いないと思います。

 本当に、お試し行為の結果を反映して本施行したのでしょうか? このままでは、それこそ、10%の未納を回収するために30%の費用をつぎ込んで5%回収するなんてことになりかねません。民間企業ならそんなことは絶対しないのですが、さすがは「公共」と騙る親方日の丸体質丸出しですね。

 そもそも、通常の商取引において売掛金の未回収などどこでもあることです。未回収金のうち回収費用、回収の手間などと回収見込みを勘案して、「利益が上がる方法」を選んでいるわけで、そのうち1つの方法として訴訟により債務名義を取って、場合によっては強制執行をするのは普通の方法です。これがわざわざニュースになると言うことは、これまで普通のことをやっていなかったというNHKの怠慢さを感じてしまいます


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*1:民事執行法上の強制執行の手続きがとれますということ。結局、「支払え」という判決を勝ち取ったところで、「強制執行の手続きがとれる」というだけのこと。

*2:直接執行する費用は請求できるでしょうが、担当する職員の人件費などの経費は見とれられない